【暦表時の計算】
過去の観測データを利用する場合、過去の日時で地球時(もしくは他の時刻系)に変換する必要があります。

まずは世界時(UT)の歴史から
協定世界時(UTC)
1972年~現在
1秒はUTC、TAI、TT全て同じ
うるう秒でUT1に調整
※1秒の長さは固定
協定世界時(UTC)

1961年~1971年
1秒は原子時計の周波数オフセット+ステップでUT2に調整
※1秒の長さが調整毎に変化
世界時(UT)
~1960年
UT2
※地球の自転変化で1秒も変化
この様に変わっています。
簡単に言えば・・・『以前は、1秒の長さを地球に合わせていたが、1972年から1秒の長さを理論値で固定した。』という事です。詳しくはネットで検索して下さい。

次は地球時の歴史
地球時(TT)
1991年~現在
地球力学時と同等
地球力学時(TDT)
1984年~1991年
暦表時と同等
暦表時(ET)
~1984年

呼名が変わっただけの様です。
今後、1972年以後を地球時(TT)、1971年以前を暦表時(ET)として区別します。


【ETの計算(1961年~1971年)】
この期間は、TAI(原子時計)ですが、UT2にあわせ、1秒の長さを変更しています。変更の一覧がwikipediaの旧協定世界時に載っています。

この時期の計算は二種類考えられる。

・UTCとして

1972年以後の計算式をそのまま使う。

 ・・・(式2-1-1)


・UT(UT2)として
昔の暦表時計算式を使う。

 ・・・・・・(式2-1-2)


どちらが正しいのか私は判断できない。しかし、この2式の差は計算できます。
1966年1月1日0時の暦表時を求めます。

UTCとしての計算式の場合
RELATIONSHIP BETWEEN TAI AND UTCから
(TAI-UTC) = 4.3131700s
TT = 0s + 4.3131700s + 32.184 = 36.49717s

UTとしての計算式の場合
IERShistoric_deltat.dataから
ΔT = 36.546s
ET = 0s + 36.546s = 36.546s

約0.049sの差があります。
この差はIERS のデータから
ΔUT1 = (UT1-UTC) = -0.0472656s
ΔUT1と思われます。

余談ではありますが、今でもは定義されており、

 ・・・・・・(式2-1-3)

以前はUT(=UT2?)だったのがUT1に変わってます。
を使って地球時(TT)を求めるのは

 ・・・・・・(式2-1-4)

になります。
UT1は直接わからないためΔUT1(UT1-UTC)を使い、

 ・・・(式2-1-5)

この式で 1966年1月1日0時を計算
TT = 0s + (-0.0472656s) + 36.546s = 36.4987344s
(TAI-UTC)を使った計算結果とほぼ一致。


【ETの計算(~1960年)】
この期間は、純粋なUT(UT2)なので昔の暦表時式を使います。

 ・・・・・・(式2-1-2)


もともと、観測・時間精度がなくもあまり精度がありません。


の計算】
値は不規則な曲線になっており、何らかの近似を使うしかありません。

・近似計算
計算式はNASAのサイトが良い
NASA POLYNOMIAL EXPRESSIONS FOR DELTA T

・テーブル補間
適当な間隔でテーブルを作りその間を一次補間する。
過去の表は
IERShistoric_deltat.data
TIMESCALES
等あります。

上記の3サイトのデータ比較

TIMESCALEとNASAの近似式は良く合ってます。

TIMESCALEとNASA近似値の差です。

1700年以前はダメダメですが、精度も無いので構わないでしょう。

精度が少しは欲しい1800年からの拡大図
t-c
全て±1s以内には入っていますが、1850年~1950年まで差が大きい感じです。

1875年~1900年までのΔTの拡大図です。

ΔTが急な変化をしており、近似値では変化に追従できてません。同じ様な箇所が1860年、1920年付近にもあります。


長くなったのでここまで。次はプログラム偏です。


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