【時刻系】
現在使われている時刻系を大きく別けると
観測値 → 観測から求めた時刻
基準値 → 正確に一定間隔を刻む時刻
理論値 → 理論通りに時を刻む時刻
この3つの系列になる(と思う)。

以下に簡単な説明をする。
【世界時(UT1 : Universal Time 1)】
世界各地の天体・衛星観測から地球の自転速度を求め
それを時刻にしたのがUT1である。
よって、地球の自転変化と共にUT1も変化する。
現在、国際地球回転観測事業(IERS) が
管理している。
【国際原子時(TAI : International Atomic Time)】
原子時計を使い、正確な1秒をカウントしている時刻。
この1秒は理論値の1秒を採用している。
【協定世界時(UTC : Coordinated Universal Time)】
現在、我々が日常使っている時刻の元になる。
UTCにオフセット(TIMEZONE)を加えた物が、各地の標準時になる。
【うるう秒(leap second)】
UTCの1秒は、TAIの固定された1秒を採用している。
そのため、変化するUT1とはズレが生じる。
UTCとUT1の差が±0.9秒以上になると
1秒単位の調整を行う。それが「うるう秒」である。
過去からのうるう秒の蓄積を
とすると、
という事になり、

もしくは、

という式になる。
うるう秒の管理は、国際地球回転観測事業(IERS) が
行っている。
日本語の表は、日本標準時グループ で取得できる。
※IERSでは、ΔAT を UTC - TAI として符号が逆になる。
【理論時刻系】
理論時刻系は、理論通りの時を刻む時刻である。
現在、二種類の理論時間が混在している。
・力学時(Dynamical Time)(~1991年)
位置等の力学計算用の時刻。
力学計算とは、

こんな計算である。
・座標時(Coordinate Time)(1991年~)
重力や速度により時間の歩度が変わるため、
時空概念を取り入れた座標の固有時。
将来、力学時は無くなり座標時に統一されるのか?
今後、座標変換は位置+時間になるのか?
相対論を理解してない私には難しいです。
【地球時(TT : Terrestrial Time)】
地球時は、地球表面(geoid)の座標時である。
同時に、地球力学時(TDT)と同等とされ、
力学計算にもそのまま使える。
TTとTAIとの関係は、

と定義されており、TAIがわかれば簡単に計算できる。
【地心座標時(TCG : Geocentric Coordinate Time)】
地球重心を中心にする座標の座標時である。
重力や地球の速度が考慮されている。
地球を中心とする運動する物に適応する。
TTとの関係は以下の式を用いる。


【太陽系力学時(TDB : Barycentric Dynamical Time)】
太陽系重心(太陽中心ではない!)の力学時。
相対論等の補正を行っている。
TDBは、次に説明する TCBから以下の式で計算する。

【太陽系座標時(TCB : Barycentric Coordinate Time)】
太陽系重心を中心にする座標時である。
太陽系重心を中心とする運動する物に用いる。
TCBとTCGの関係は、

となっているが、この中のP(TT)という関数が解らない。
調べて理解するまでお待ち下さい。
【Teph : Barycentric Ephemeris Time】
日本語訳が無かったので英語のままです。
英文をそのまま訳せば「(太陽系)重心暦表時」。
当然、日本語の解説もないので、英文を解析中です。
【まとめ】
昔々は、世界時(UT)と暦表時(ET)だけですべて計算できたが、
相対論のお陰で、座標と時間がくっついた物になり面倒です。
次からは、それぞれを計算するプログラムを作って、
実際にどれくらいの差があるか計算してみます。
【参考文献】
Explanatory Supplement to the Astronomical Almanac 3rd
Edition
Explanatory Supplement to the Astronomical Almanac
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るう秒の問題