【TCB・TDB低精度の計算】(作成 2018/12/07)
諸事情により、ほぼ一年間更新できませんでしたが、再開します。
再開第一弾は、低精度の計算です。

XHFやINPOPでは範囲があり、範囲外の過去や未来を計算したい場合に困る。そのために、精度を落としたTCB(太陽系座標時)、TDB(太陽系力学時)の計算式を探してみる。


1) TCBの低精度計算式
TCBの近似計算式を調べたが、式が見つからなかったため自分で作ってみる事にした。

元のTCBの計算式
   
これを変形して
   
Pは周期項、Oは観測者項になる。
これから求めるのは低精度であるから、周期項も観測者項も不要なので消す。
さらに、分母の1−L_Bもほぼ1に近いから消します。
以上の結果、

   

この式でどれくらいの精度があるか、INPOP_TCBと比較してみた。



横軸は、1000年〜3000年までのJD、縦軸は秒の単位。
これを見ると、約±1.7msecの範囲に入っているようで簡易式として使えそうな気がする。
本によると、この約1.7msecのバラツキは、周期項の値らしい。


2) TDBの低精度計算式
こちらはExplanatory Supplement to the Astronomical Almanacに載っていました。
元式はTDTですが、TTと同等なのでそのまま使います。




INPOP-TDBと比較してみました。

1000年〜3000年間で約±70μsecの差で、十分に使える式と思います。


3) XHFをそのまま使う
XHFの範囲は、1600年〜2200年であるがそれをそのまま延長して使ってみる。
INPOP-TCBと比較してみると

中央のほぼ直線が1600年〜2200年です。そこから徐々に拡散気味ですが、
1000年で+12μsec、3000年で-4μsecと考えていた以上に良い精度です。


結論として、XHFを範囲以外に使った方が精度もよくプログラムも楽です。



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