【太陽系座標時(TCB : Barycentric Coordinate Time)】
太陽系座標時(正しくは「太陽系重心座標時」と思われる。)は、太陽系重心を原点とする座標の固有時です。太陽系重心を中心とする運動に使用する(惑星・小惑星・彗星等)らしい。
「らしい」というのも、未だにTCB時間で計算された何かを見た事がない(TDBはDEの惑星座標ファイルに使われている)。将来はTCBになっていると思われます。

TCBの計算は、地球時間(TT or TCG)から重力や速度の影響をすべて取り除いた物になり、太陽系内で一番速く進む時刻系になる筈です。

IERS Technical Note No. 36によれば


この図の様になっており、地球と太陽系の時間変換は(x,y,z,t)の四次元変換となり少々複雑そうです。
逆に、それぞれの座標時と力学時は比例関係であり簡単に計算できます。
という事は、TCBを求めるには

・TCGからTCBを直接計算
・TTからTDBを求めてTCBを計算

どちらかの方法でTCBを求める事になります。

四次元変換として、以下の式があります。
出典Explanatory Supplement to the Astronomical Almanac 3rd Edition


  =地球の速度(太陽系重心座標値)
  =地球の位置(太陽系重心座標値)
   =観測者の位置(太陽系重心座標値

は、TE405(Irwin and Fukushima, 1999)という物らしく、周期項を数値積分し、時間の関数にした物の様である。この周期項以外は難しくはない式であるが・・・精度を上げるためには周期項を無視できない。

【周期項の計算】
IERS Technical Note No. 36には、TE405以外の周期項の計算方法が書かれている。それをまとめてみる。

・TE405
TE405本体をdownload出来なかったため詳細は不明です。
TE405のPaperは、
http://iopscience.iop.org/article/10.1086/378909/fulltext/
で見ることができます。

・INPOP
http://www.imcce.fr/fr/presentation/equipes/ASD/inpop/
現在(2017年)はINPOP13cのバージョンになっている。
INPOPは、惑星座標のファイルであるが、その中に直接TCG-TCBもしくはTT-TDBを求める項目がある。
時間変換だけに使うにはサイズがでかいが、直接TCBやTDBが求められるのは便利である。
範囲は1900年〜2100年、1000年〜3000年

・FB・HF・XHF
ftp://tai.bipm.org/iers/conv2010/chapter10/software
IERSのConversion centerにあるプログラム。TE405とほぼ同等の精度で周期項を計算できる。
範囲は1600年〜2200年

現在、私が使っている惑星座標は±3000年の物である。それに比べると計算期間が短いのが欠点であるが、±3000年の期間をサポートするデータが無い以上仕方がない。

次回から、それぞれを使ったプログラムを作っていきます。


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