【太陽時と恒星時】(改訂:2019/2/5)
ここからは、天文計算では避けて通れない「恒星時」になります。


・太陽時(Solar time)とは
『太陽が子午線通過から再び子午線を通過するまでを1日(24時間)とする』
これが太陽日で、太陽日を24時間の時刻にした物が太陽時です。
簡単に言ってしまえば、

太陽時(Solar time)とは「太陽の動きに合わせた時刻」

もしも太陽時の24時間で一回転する時計があれば、短針は太陽の動きを示します。
(太陽観測する望遠鏡の追尾速度は太陽時である)
現在の時刻系ではUT1太陽時であり、我々が日常使っているUTCは太陽時に準拠です。

・恒星時(:Sidereal time)とは
『恒星が子午線通過から再び同じ恒星が子午線を通過するまでを1日(24時間)とする』
これが恒星日で、恒星日を24時間の時刻にした物が恒星時です。
簡単に言ってしまえば

恒星時(Sidereal time)とは「恒星の動きに合わせた時刻」

これも24時間で一回転する時計があれば、短針はある恒星の位置を常に示します。
(恒星観測する望遠鏡の追尾速度は恒星時である)
恒星時はの記号が使われます。

両者の違いは、地球が公転している為に起きます。



地球のP地点と太陽と恒星が一直線に並んだ時をA、Aから一日後の地球の位置をBとする。
B地点において
P地点が恒星と並ぶ時(P0点)、これを恒星日とし24時間で割ったのが恒星時(Sidereal Time)
P地点が太陽と並ぶ時(P1点)、これを太陽日とし24時間で割ったのが太陽時(Solar Time)
と呼ばれる。
図でわかる様に、太陽日の方が恒星日より多く回転が必要で、P0とP1の差は約4分=約1°です。
※地球の幾何学的一回転は恒星日に等しい。

日と時間を説明したら、次は年です。



図の0°を起点とすれば、一年は太陽年恒星年も同じ0°の起点に戻った時です。
これでは両者の違いが無いようですが、日の単位で考えると違いがでます。
起点から恒星日と太陽日の差は段々と開き、起点に戻った時は丁度1回転分の差となります。
※恒星時は公転の影響を受けずに、常に同じ方向になる。

1恒星年=1太陽年日数+1日

という事になります。



・太陽時と恒星時の計算式
太陽時は我々が使っている時刻系ですから、1年は約365.2422日です。そうすると、

1太陽年=365.2422太陽日
1恒星年=366.2422恒星日


恒星日では一日(一回転分)多い式になります。この式から

1太陽年=1恒星年
365.2422太陽日=366.2422恒星日

恒星日=365.2422÷366.2422=0.9972695664=23時56分04.091秒
太陽日=366.2422÷365.2422=1.0027379093=24時03分56.555秒

という結果になります。
太陽時(UT)と恒星時()の変換式を作りましょう。



ここから、



これで太陽時と恒星時の相互変換が可能ですが・・・
この式は「時刻の歩度変換」のみで、現在の恒星時を求める式ではありません。
正しく恒星時を求めるためには、0時UTの恒星時()を知っている必要があり



これで恒星時が求められます。
一般的にはグリニッジ恒星時(0時UTの起点である経度0の地点)を用いますが、正しく恒星時を求められるならどの地点でも構いません。実際、各地で恒星時を観測しそれを太陽時に変換しています(これがUT0)。
恒星時の詳しい話は恒星時の計算で行います。



・平均太陽時(Mean Solar Time)と平均恒星時(Mean Sidereal Time)
今まで「太陽時」や「恒星時」と書いてましたが、正確には「平均太陽時」「平均恒星時」です。
両者共に「平均」という言葉ですが意味が違います。

・平均太陽時(Mean Solar Time)
太陽の動き(すなわち地球の自転・公転)は諸事情により一定ではありません。そのため一年間の平均時間で時を刻むのが「平均太陽時」です。

・平均恒星時(Mean Sidereal Time)
こちらの平均は、赤道座標(赤経・赤緯の事)の分点です。赤道座標の分点は、歳差と章動の大きな変化があります。
その歳差だけで分点を決めたのが「平均分点」と呼び、その座標系の恒星時を「平均恒星時」と呼びます。

詳しくは次回から説明します。




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